ルールは覚えた。さあ、次は……?

 どんなことでもそうだと思うのだが、何か新しいことをはじめるというのは、大変なことである。

 

 それまで不摂生な生活を送ってきた人が、「健康のために今日から1日3キロ走るぞぉ」と決心しても、ものの1キロほどでお腹が痛くなってきて、即日リタイアするのは目に見えている。

 「近所に美人なアメリカ人のお姉さんが引っ越してきたような時に備えて英会話できるようになろう」と意気込んで高価な英語教材セットを買い込んできたのに、あまりに英語を理解できない自分に嫌気がさして、結局その教材は本棚の肥やしになってしまった、なんていうのもめずらしい話ではなかろう。

 

 将棋とて、例外ではない。まず、ルール(というより駒の動き方)を覚えるのが大変だ。最初のうちは、金と銀、龍と馬の動かし方が紛らわしいし、二歩や打ち歩詰め、盤上に利きのない打ち駒の禁止など、禁じ手についても理解しなければならない。

 

 まあ、ルールについては、書籍でもネットでも丁寧でわかりやすい解説があふれているから、そこはクリアしたとして、いざ盤面に向き合ってみると、どんな手を指したものか、途方に暮れてしまうであろう。それでも相手が自分と同じ超初心者なら、ヘボどうし楽しんで指せるかもしれないが、少しでも強い相手になると、次々と駒を取られていき、ボコボコにされてしまうだろう。そこで気がつくわけだ。「将棋を本当の意味で楽しむには、多少は勉強しなきゃいけないぞ」と。

 

 ところが、である。街の本屋さんをのぞいてみても、入門者対象のルール解説書と、中級者以上向けの戦法解説書ばかりで、「ルールはわかるけど、ルールしかわからない」ような人向けの本は非常に少ないのである。

 

 そこで、当研究会(という名の個人運営ブログ)では、将棋のルールを覚えてから、超初心者を脱し、中級者以上になるまでの勉強法について、提案、検証していきたい。